目次
上顎前突とは
上顎前突(出っ歯)とは、上の歯列が下の歯列よりも前に出すぎて、上下の前歯が離れて前後的に隙間がある状態のことをいいます。
上顎前突の原因とは
歯の傾斜が原因
あごの大きさが小さく歯が生える隙間がない場合は、上の前歯が前方に傾斜して出っ歯になる場合があります。あごの大きさが小さいので、でこぼこも同時に起きている場合があります。でこぼこが多い場合は、歯を抜く治療になる場合があります。
骨の位置が原因(骨格的に上あごが前方位にある場合)
上あごの骨自体が前方位にある場合が出っ歯となります。あごの大きさは正常な場合が多いですので、前歯が傾斜してない場合があります。一方で、アゴが小さい場合では前歯が傾斜してデコボコしてる場合もあります。レントゲンでの分析を行い評価することが重要です。
機能的な事が原因(指しゃぶり・口呼吸など)
永久歯に生え変わる時期まで指しゃぶりの癖や口呼吸により口のまわりの筋肉が常に緩んだ状態になり、歯が前に出てきてしまうことがあります。
上顎前突は治療が必要なのか?
上顎前突の治療は必要なのか?日本矯正歯科学会のガイドラインを参考にまとめました。
審美的な観点から
上顎前突は顔の外観に影響を及ぼすことがあります。前歯が突き出ていると、顔のバランスが崩れ、不自然に見えることがあります。患者の美的な要望や自己満足感に応じて、治療が必要とされることがあります。矯正治療によって、歯と顔の調和を取り戻し、自信を高めることができます。
外傷の予防
上顎前突により、前歯が顔の前に突出し、外傷を負うリスクが高まります。特に子供やアクティブな生活を送る人々は、スポーツや日常生活での事故による歯の損傷を防ぐために治療が必要かもしれません。治療によって、歯を守り、外傷のリスクを軽減できます。
かみ合わせの観点から
上顎前突は、かみ合わせに関連する問題を引き起こす可能性があります。正確なかみ合わせは、食事の効率性、消化、歯や顎の健康に重要です。上顎前突がかみ合わせに影響を与えている場合、矯正治療によってかみ合わせを改善し、関連する問題を予防できます。
上顎前突の治療方法
小学生の場合 (大人の歯が生え揃っていない場合)
上顎前突の治療は子供において、アゴの拡大と奥歯の後方移動を通じて解決できます。治療は個別にカスタマイズされ、アゴの状態に合わせて進行します。子供の成長に合わせた矯正計画で、可能な限りの上顎前突の改善を行います。(重度である場合は、二期治療に進み抜歯になる可能性があります。)
実際の治療例に関しては、下記ブログを御覧ください。
中学生以上の場合
軽度の場合
上顎の前歯が傾斜していますが、場合で口元の突出感が認められない場合は、可能なかぎり抜歯を回避し、奥歯の後方移動や拡大、スライスカットなどの矯正手法を使用して上顎前突の改善を行います。
中等度から重度の場合
骨格的にも歯に問題があり、口元の突出感が顕著である場合が多いです。その場合は、抜歯を併用した矯正治療が必要です。この治療方法では、不正なかみ合わせを修正し、美的な調和を取り戻すために、歯と骨の適切な位置づけを同時に調整します。患者の個別の症状に応じて、治療計画を立案します。
きわめて重度の場合
極めて重度な上顎前突の症例では、骨格的な大きな不調和が見受けられたり、多数の抜歯を行っても上顎前突が改善しづらい場合があります。このような複雑な症例に対処するために、外科手術を併用した矯正治療が必要です。手術により、上顎骨の位置を調整し、歯の移動を補完し、かみ合わせを改善します。外科手術と矯正治療の組み合わせにより、持続的かつ効果的な治療結果を実現します。
よくある質問
Qいつから治療を開始すればいいでしょうか?
小学生であれば、上下の前歯が4本生えそろった10歳以上が推奨されます。中学生以上であれば、女性であれば成長がとまった14から15歳前後 、男性であれば15歳以上が望ましいと考えます。
Q 歯を抜く必要はありますか?
患者様の歯や骨の状態についてレントゲンなどで精査を行って必要に応じて歯を抜くことがあります。
Qマウスピースでの治療を考えていますが、可能でしょうか?
軽度から中等度の場合は、マウスピースでの治療は可能ですが、抜歯を併用した矯正治療や外科矯正治療の場合において適応できない場合があります。