「小学生のころから矯正をがんばったのに、口元が出たまま…」
「治療は終わったけれど、顔の印象が変わっていない気がする」
「歯は並んだけど、横顔のバランスが気になる」
そんなお悩みを抱えている方は、実は少なくありません。
矯正治療は長い時間と努力が必要なものです。
「きちんと治療したのに、なぜ思ったような見た目にならなかったのか?」という戸惑いを持たれるのは当然です。
でも、それは患者さんやご家族の努力が足りなかったからではありません。
矯正治療では、歯の並びだけでなく、「骨格のバランス」や「筋肉・呼吸などの機能面」、そして「治療方針そのもの」が結果に大きく関係しているのです。
なぜ口元が引っ込まなかったのか?
「歯はきれいに並んでいるのに、口元が出ている気がする」
その原因は、歯だけでなく、治療方法や骨格、成長の影響が関係していることがあります。
よくある原因
① 子どもの矯正では抜歯を避けることが多い
成長期の矯正(Ⅰ期治療)では、あごの成長を促すことで永久歯が並ぶスペースを確保し、できるだけ歯を抜かずに治療する方針が一般的です。
その結果、歯は並んでも前方に広がった歯列になることがあり、口元が前に出た印象が残ってしまうケースもあります。
② 前歯の角度が残っている
並び自体は整っていても、前歯が前に傾いていると、唇が押し出されてしまい口元が出て見えます。
③ 顎の骨が前に出ている(骨格性の突出)
歯だけではなく、顎の骨格そのものが前に出ている場合、歯列矯正だけで口元を下げるのは難しいことがあります。
④ 舌のクセや口呼吸などの習癖が影響
治療後も、舌が前に押し出すクセや口呼吸の習慣が残っていると、歯が前方へ戻りやすくなります。
今からでもできることはある?
「もう成長も終わったし、今さらどうにもならないのでは…」と思ってしまうかもしれませんが、
今の状態に合った治療を選ぶことで、口元の印象を改善できるケースは多くあります。
できること・選べる治療
● 歯の再調整(再矯正)
ワイヤー矯正やマウスピース矯正で前歯の角度や位置を調整し、口元を内側に整えることが可能です。
● 抜歯を併用した矯正
成人矯正では、必要に応じて抜歯によってスペースをつくり、前歯を内側に移動させることで、口元を下げる効果が期待できます。
● 外科的矯正が適応となる場合も
骨格性の突出が強い場合は、手術を併用した矯正で顎の位置そのものを整える選択肢もあります。
● 舌や呼吸のトレーニング(MFT)
後戻り防止と安定した仕上がりのために、舌の使い方や呼吸の仕方を改善するトレーニングも重要です。
まとめ
子どものころに矯正をしたからといって、必ずしも見た目の理想が叶うとは限らないことがあります。
特に「口元の印象」は、歯の並びだけでなく、治療方針・骨格・習慣など多くの要素が関係しています。
「矯正をがんばったのに、理想と違う…」と感じている方も、
今の状態に合わせて治療を見直すことで、できることはまだあります。
口元のお悩みは、決して“手遅れ”ではありません。
まずは、自分の状態を正しく知ることから始めましょう。