当院ではCTスキャンを実施しております。矯正歯科において、歯並びの改善や口元の美容を実現するためには、患者様の骨格のバランスを詳細に確認することが非常に重要です。そのため、CTスキャンを行うことで、具体的な説明がしやすくなります。ただし、多数のレントゲン画像をコンピュータで組み合わせて3D情報に変換するため、CTの放射線被曝量は通常のレントゲン撮影よりも高くなりますが、その安全性について詳しく説明します。
安全性について
歯科用レントンゲンの被爆について
通常のレントゲン撮影において、特定の歯を対象にした「デンタルX線撮影」の被曝量は約0.01ミリシーベルト程度です。また、上下の歯列全体を写す「パノラマX線撮影」では、約0.015ミリシーベルト程度の被曝量となります。これに対して、歯科用CTの被曝量は約0.15ミリシーベルト程度で、パノラマX線撮影の被曝量の約10倍です。しかし、これらの被曝量は放射線の安全基準内に収まっており、安全であるとされています。
医療CTや自然被爆との比較について
比較のために、他の被曝源との対比を行います。自然界からの年間放射線被曝量は、一般的に2.10ミリシーベルトとされています。これは健康に影響を及ぼすほど高いレベルではありません。また、飛行機で高空を飛行することによっても、胸部レントゲン撮影と同程度の被曝を受けることがあります(約0.05ミリシーベルト)。歯科用CTの被曝量が比較的低い理由は、コーンビームと呼ばれる技術を使用しているためです。この技術では、一つの発光源から円錐状にX線を照射し、多数のレントゲン画像を撮影しています。この方法によって、放射線被曝を最小限に抑えつつも、詳細な情報を提供できるのです。
CT撮影の適切な使用法と注意点
被爆量は非常に低く、自然界からの放射線被爆量に比べて極めて小さいですが、撮影室内での散乱線(照射線の約1/30)からも守るために、当院では防護エプロンを装着してレントゲン撮影を行っております。
妊娠時におけるレントゲン撮影について
妊娠中は胎児の健康を最優先に考える必要があり、矯正治療前に妊娠している可能性がある場合は、矯正治療において治療計画を立てるためのCT撮影が不可能のため矯正治療を避ける必要があります。矯正治療中に、妊娠した場合は被曝量の多い可能な限りのレントゲン撮影をさける必要があります。また、緊急時においてレントゲン撮影が必要な場合は、防護エプロンを装着して行います。