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矯正前にCTって必要?|口元の原因が“骨格 or 歯”か見える診断法とは?CTを撮影する理由 part1   (骨格と歯と口元のバランスについて)

氏井庸介

氏井矯正歯科クリニック
院長 氏井庸介

DOCTOR PROFILE

2023.09.05

初診でCTって撮るべきなの?と思っている方へ

「初診でCTなんて、大げさでは?」 

こうした疑問は、実際に患者さんからよくいただきます。

たしかにCTというと、「被ばく」「費用」「時間がかかりそう」といった不安もあるかもしれません。

しかし当院では、CTを“必要な方に限って”ご提案しています。 なぜなら──

CTによって、あなたの口元の見た目の原因が「歯の傾き」なのか「骨格のズレ」なのかがはっきりとわかるからです。

本記事では、CT撮影がなぜ矯正治療に役立つのか、そして本当に必要なのかを、奈良の氏井矯正歯科がわかりやすくお伝えします。

 

CT分析でわかること

さて、ここからは実際のCT画像をもとに、
この患者さんの“どこに問題があるのか”を読み解いていきます。

まず見るのは「骨格」。
そして次に、「歯の傾き」や「前歯の角度」。
最後に、「顔全体のバランス(E-line)」です。

**“どこがどれだけズレているのか”**を具体的に確認しながら、
この患者さんの「口元が出ている理由」を明らかにしていきます。

第一に、骨格の位置をまずみます!!

1.SN平面:顔と頭蓋の傾き

S点(脳の中心)とN点(眉間)を結んだライン

顔と頭の“基準線”になります

 2.SNA :上あごの前後位置

N点とA点の角度で判断

 3.SNB :下あごの前後位置

N点とB点の角度で確認

 

 4.ANB :上あごと下あごの前後位置

A点とB点の差(ANB角)を見ることで、上顎前突や下顎前突かが分かります。

この患者さんの場合

ANB角 約7° → 上顎がやや前に出ている

✅ この骨格の特徴から導き出せる治療のメリット

今回の患者さんの場合、
この「上あごの前突」が原因の一部であると判断できたことで、
治療計画にも大きなヒントが得られました。

例えば──
もし非抜歯で治療をすると、歯だけが後ろに下がるけれど、骨格の前突感が残る可能性があります。

一方で、抜歯を併用することで、歯の位置を大きく下げることができ、結果として“口元の突出感”をより改善できると判断できます。

✅ このように、CTによる骨格の把握は、単なる診断にとどまらず、治療の方向性(抜歯かどうかなど)を判断するための大きな手がかりになるのです。

📌 あなたの「口元が出ている」理由も、もしかすると骨格に原因があるかもしれません。

気になる方は、まずはCT付き初診カウンセリングで、あなたの骨格バランスをチェックしてみませんか?

CT分析付きカウンセリングの詳細はこちら

👉 次は、歯の傾きや角度を見てみましょう!

🦷 歯の傾きと角度からわかること

骨格の次に診るのは、「歯の角度」です。
特に、上下の前歯がどの方向にどれだけ傾いているかは、見た目にも噛み合わせにも大きく影響します。

▶ 上の前歯(U1 to SN)

上の前歯は、歯の先端と根の先を結んだ線を「SN線(顔と頭の基準ライン)」と比較することで、
どれだけ外向きに傾いているか=前突傾向があるかを診断します。

▶ 下の前歯(L1 to MP)

下の前歯も同様に、歯の軸を**下顎骨の基準ライン(下顎平面)**と比べて角度を測定します。
この角度が大きいほど、**下の歯も外に倒れている状態=“上下とも前に出ている”**という印象になります。

💡 この患者さんの診断結果

この方の場合、上下の前歯どちらもやや外向きに傾いており、
骨格の前突に加えて「歯の傾き」も口元の出っ張りに関係していることがわかりました。

つまり──
“骨+歯”の両方が原因だったということです。

 


🧭 次に見るのは「口元のライン」

歯の傾きや骨格だけでなく、**“口元の見た目”に直結するのが「E-line(エステティックライン)」**です。

💋 E-lineとは?横顔のバランスを測る基準線

E-lineとは、鼻の先端と下あごの先端(オトガイ)を結んだ直線のことです。
この線に対して、上唇・下唇がどれだけ前にあるかを見ることで、
口元の「引っ込み具合」や「出っ張り感」がわかります。


📊 一般的な基準

人種 上唇の位置 下唇の位置
日本人(成人女性) E-lineから約±0mm(接している程度) やや内側〜同等
欧米人(白人基準) 上下ともE-lineよりやや内側(-2〜-4mm)  

✅ つまり、E-lineより前に唇が出ていると、「口元が出て見える」傾向があります。

そこで次は、この患者さんの**横顔がどう見えているか?**を見ていきましょう。


📸 この患者さんの場合

この患者さんの横顔の写真やCTを確認すると、
上唇・下唇ともにE-lineより前に出ている状態が確認されました。

ChatGPT:

📝 骨格・歯・E‑line分析のまとめ

ここまでのCT分析で、この患者さんに重なっていた3つの要因がはっきり分かりました。

  1. 骨格的な前突
    上あごが約7°前方に出ており、ベースラインからずれている。

  2. 歯の外突傾斜
    上下の前歯がやや外側に倒れていて、口元のボリューム感を強めていた。

  3. E‑line上の唇の位置
    上唇・下唇ともにE‑lineより前に出ており、横顔の突出感を助長。

――つまり、写真だけでは分からない「骨格+歯軸+唇位置」という三位一体の原因が口元の出っ張りを生んでいたのです。

💡 この診断がもたらすメリット

治療方針の精度向上:骨格と歯の両方に合った抜歯/非抜歯の選択ができる

シミュレーションの精密化:3Dデータを使い、治療後の横顔イメージを具体化

安心感の提供:数字と画像で「なぜこの方法がベストか」を納得していただける

 


実際の治療

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初診相談では、CT撮影+骨格・歯・口元の分析を行い、あなたの「見た目の悩みの原因」を分かりやすく説明いたします。

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