当院は、初診でCTを撮影しますが、その理由は三つあります。
1 骨格と歯と口元のバランスを確認するため
2 子供の生え変わりで問題があるかを確認するため
3 特別な病気がないか確認するため
これらを把握することで、患者様一人一人に合った矯正治療について初診で説明することが可能となります。
「特別な病気がないか確認するため」
歯並びが気になって矯正治療に来られる方がほとんどだと思いますが、当院では初診でカウンセリングを行うと同時にCT撮影するので、お口の中の予期せぬ異変を確認することができ、精密検査をする前にお知らせすることが可能です。
前歯の根っこの状態について
この患者様は、出っ歯が気になって来られた患者様です。カウンセリングでCT診断を行い、上の歯の前突感は、歯が外側に傾斜していることが確認できたので、上の前から数えて4番目の抜歯を行い通常通りの矯正治療になるとご説明しました。
ところが、CTで前歯の歯根の部分を確認した所、著しく短くなっていました。これは、歯根吸収というおそろしい病気です。原因も不明であったりお痛みもないので、どんどん進んでいきます。このまま進行すれば抜歯になる可能性が高いので、一度当院の近くにある歯根の専門医に行っていただきました。
今回のケースでは、精密検査を行うためにリスクの提案を行いました。今回は、リスクが大きいと患者様が判断し、矯正治療に関してはお悩みではありますが、もし、患者様が抜歯になる可能性を許容して頂いた場合は、歯を抜かない矯正治療で可能な限り上顎の前歯の改善などを行う予定です。
歯を抜く方が確実前歯が後退しますが、今回のケースで「奥歯を2.3ミリ後方に移動させること」と「横幅の拡大を行うこと」で前歯を内側に入れる方法です。ガタガタの量が多いので、完全には前突感は改善しませんが、前歯の隙間などは改善する可能性が高いです。
骨の病気の確認
この患者様は、過去に矯正治療をされていましが、出っ歯や上下口唇の突出感が気になって来られた患者様です。カウンセリングでCT診断を行い、上下の口元に関しては、歯が外側に傾斜していることが確認できたので、上下の前から数えて4番目の抜歯を行い通常通りの矯正治療になるとご説明しました。
ところが、注意して下アゴの骨をみると空洞が確認できましたので、紹介状を作成し奈良総合医療センターに行っていただきました。矯正治療は、体が健康であることが前提で治療を行えるので、まず緊急性が高い部分の治療を行ってもらうことが重要です。
留意点
CT撮影は、他のパノラマレントゲンなどと比較して被爆量が多いので、必要ではないのであれば、避けるべきと意見もいただきます。ただ、矯正治療の診断が目的である場合は、矯正治療では長期間の治療期間におよぶため初診相談で可能な限り得られる情報でお話することが必要と考えます。CT撮影により骨格の位置の状態や口元の状態や歯並びの状態および根っこの状態など様々なことを同時に診断できるため、初診相談において当院ではCT撮影を行います。