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開咬 について(前歯部開咬)

氏井庸介

氏井矯正歯科クリニック
院長 氏井庸介

DOCTOR PROFILE

2023.09.25

開咬とは

咬合時に臼歯のみが接触して、それより前方の歯が全く接触していない状態のことを指す

開咬の原因とは

歯の位置など問題

歯が正常な位置にこず開咬となる場合があります。幼少時において、指しゃぶりなどの機能的な要因と大きく関連しています。

遺伝的要因

開咬は家族の歯列や顎の形状の遺伝的傾向に起因することがあります。親や近親者に開咬がある場合、子供も開咬を発症するリスクが高くなる可能性があります。

機能的な要因

悪い口の習慣、例えば親指の吸引、おしゃぶりの過度の使用、舌突出、長期の口呼吸などは、開咬を引き起こす可能性があります。

舌突出癖について

開咬の治療は必要なのか?

審美面に関して

開咬では、口を閉じるのが難しくなります。これにより、口や顔の形が少し変わり、見た目に不自然さを感じることがあります。特に、前歯が通常よりも前に出てしまうと、さらに見た目に違和感が出てきます。このように、開咬は顔のバランスを崩し、美しい笑顔を隠してしまう可能性があります。

かみ合わせに関して

開咬は、前歯だけの問題や奥歯まで影響する問題があります。前歯開咬の場合は食べ物を前歯でとらえることが難しくなります。これらの問題は、見た目だけでなく、食事にも影響を与えるため、治療が重要です。

発音に関して

開咬は、舌と歯の位置が変わるため、発音が難しくなることがあります。特に、”s” の音が “θ”(シー)のように聞こえたり、”r” の音がうまく発音できなかったりする問題が生じます。しかし、開咬があっても、舌や口唇をうまく動かすことで、発音に問題がない場合もあります。

開咬の治療に対する考え

開咬は、歯が上下できちんと合わない状態で、矯正歯科での治療が難しいとされています。これは、歯や顎の形の異常だけでなく、舌や口周りの組織の動きの問題も関係しています。子供の成長期に開咬が見つかった場合、問題の原因を早く特定し、対処することが大切です。舌の癖が問題となる場合、特別な器具を使って治療することもあります。また、開咬の治療は、下顎の成長の進行によって治療計画が大きく異なるため、治療期間が長くなります。下顎の成長は主に思春期に見られるため、思春期の成長が始まるまでの期間と、思春期以降の成長が終わった時期において治療計画のアプローチを変更する必要があります。

思春期の成長が始まるまで

幼稚園から小学生の低学年

幼児において開咬が確認された場合、それが口腔習癖によるものが多いため口腔習癖の中止をおすすめいたします。ただし、癖は無意識下での行為のためなかなかやめることができないのが現実的です。年長期から小学校1年生頃にかけて永久歯に生え揃っても開咬が続いている場合、機能的矯正装置の使用あるいはMFT(舌の筋トレ)の指導することが考慮されます。

小学校の中学年から高学年

上下に部分的にワイヤータイプの装置を装着し、顎間ゴムの使用を併用します。開咬の患者様は、上顎が骨格的に狭くなることが同時に起こることが多いので、固定式の拡大装置を併用する可能性があります。

思春期以降の成長が終わるころ

中学生

当院において、小学生から治療をされてる場合

小学生からの治療が長期にわたっているため、中学生になると、歯の生え変わりのタイミングを確認し、問題がない場合は装置を外して経過観察を行います。多くの方は開咬が改善していますが、全ての歯のかみ合わせは、成長終了後に二期治療で改善を行います。また、下あごの成長の時期のスパートが早く起こり改善しない場合も少ないながら存在するケースがあります。

はじめて当院に来院された場合

治療を希望された場合、精密検査を通じて開咬の原因を確認し、もし歯の問題のみであれば矯正治療を開始します。骨格的な問題が原因である場合は、成長が止まるころまで一度経過観察を行います。

高校生以上

当院において、小学生から治療をされてる場合

個人差はありますが、高校生になって成長が終了していることが確認できれば、二期治療のための精密検査を行います。抜歯を併用した矯正治療となるのか、外科手術を併用した矯正治療となるのか、治療計画について慎重に話し合って決定します。何も問題がない場合や治療を希望されない場合は、二期治療に進まない方もいらっしゃいます。

はじめて当院に来院された場合

治療を希望される場合には、精密検査を行い、反対咬合の原因が歯の問題のみなのか、それとも骨格的な問題なのかを診断します。状況や必要に応じて、外科手術を併用した矯正治療を行う可能性があります。

矯正歯科治療を行った場合の偶発症

開咬の患者の中には、元々前歯の歯根が正しく成長していないため、歯根吸収のリスクが高い場合があります。さらに、矯正歯科治療は歯根吸収を誘発する危険因子の一つとされているため慎重な対応が必要とされます。

症例集

通常の矯正治療

インプラントアンカーを併用した矯正治療を行いました。

インプラントアンカーは、治療後に撤去します。

マウスピース型矯正装置

機能的な問題と歯の位置による問題であったので、マウスピース型矯正装置で改善行いました。

外科手術を併用した矯正治療

骨格性が原因による開咬のため外科手術を併用した矯正治療で改善を行いました。

Q&A

Q1 7歳ですが、前歯が噛んでいません。いつから治療をしたほうがいいでしょうか?

開咬の原因が、口腔習癖である場合、何らかの治療をするべきと考えます。ただし、7歳から治療を開始する場合は、治療期間が長期にわたる可能性があります。まずは、MFTや機能的矯正装置などから治療を開始する可能性があります。

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