初診カウンセリング

【専門医が解説】前歯の位置、気になりませんか?セファロ分析でわかる矯正の必要性【セファロ分析】part2 」

氏井庸介

氏井矯正歯科クリニック
院長 氏井庸介

DOCTOR PROFILE

2024.06.03

「前歯の位置」って、実はすごく大事なんです

鏡で見るとあまり気にならないのに、写真で自分の横顔を見ると「なんとなく口元が出ている気がする…」と思ったことはありませんか?

その原因、もしかすると前歯の位置かもしれません。

前歯の位置は、見た目(審美性)だけでなく、発音・噛み合わせ・口唇のバランスにも深く関わっています。そしてこの前歯の位置を科学的に分析するのが、「セファロ分析」です。

 

セファロ分析とは

セファロ分析は、横顔のレントゲン写真(側貌セファロ)をもとに、骨格や歯の位置関係を評価する方法です。
矯正治療の診断や治療計画の立案、治療結果の評価に欠かせない検査のひとつで、以下のようなことがわかります

上の前歯の位置の分析方法

3軸方向について

上の前歯を「3つの軸」で立体的に評価する

前歯の位置は、「横」「縦」「左右」の3方向から立体的に評価する必要があります。

軸の方向 チェックポイント 評価方法
横(前後) 出っ歯/受け口の傾向 セファロ(ANB角、U1 to SN)
縦(上下) 前歯が下がっている・上がっている セファロ+口腔内写真
左右のズレ 正中のずれ、前歯の偏位 正面からの写真やスキャン

 

上の前歯の位置の分析方法(横軸から)

骨格的な位置を知る (ANB)

ANB角度を用いて、上顎と下顎の骨格的な位置関係を評価します。これにより、前歯の出っ歯や受け口の程度を判断できます

歯の傾斜角度をみる (U1 to SN)

上顎の前歯(U1)の軸と頭蓋底線(SN)の間の角度を測定し、前歯の傾斜を評価します。この角度により、前歯の前突や後退の程度を確認します。

口唇との関係 (E-line)

前歯の位置と口唇のバランスを評価するために、Eラインを使用します。Eラインは、鼻先から顎先までの線を引き、このラインに対する上唇と下唇の位置を確認します。これにより、審美的な面から前歯との関係を評価できます。

上の前歯に対する治療方針を決定する

次に分析ができれば、上の前歯に対する治療方針を考えます。下記3つのように分けてどのバターンが適しているのかを考えていきます。

① 現状維持しながら歯列を整える

上の前歯の位置が骨格的にも、傾きや唇とのバランス(E-line)にも大きな問題がない場合は、「前歯の位置は動かさず、歯並びだけを整える」という治療方針が取られます。

たとえば以下のような方が該当します:

  • 歯のガタガタ(叢生)はあるけど、口元の出っ張り感は気にならない
  • E-line上で唇の位置が適正範囲にある
  • 横顔のバランスも悪くない

このようなケースでは、骨格や前歯の位置には手を加えず、マウスピース矯正や部分矯正で見た目の印象を整えるシンプルな治療が可能です。

📌 特徴的なのは、「でっぱでもなければ、引っ込みすぎでもない」というちょうど良いバランスの方で、機能的にも審美的にも問題が少ない場合が多いです。

「今よりきれいになればOK」「ガタガタが気になる」など、見た目の改善が主目的の方に向いている治療です。

▶ [症例集16はこちら]

② 上の前歯を前方に動かす場合|口元に“メリハリ”を取り戻す治療

「口元が平坦に見える」「唇にハリがなく、なんとなく元気がない表情に見える」といった印象を持たれる方は、**前歯が内側に倒れ込んでいる(後退している)**可能性があります。

このようなケースでは、前歯をやや前方に傾斜させることで、口元の立体感を取り戻し、顔全体の印象を明るくすることができます。


✅ どんな人に多いの?

  • 横顔が「平坦」または「くぼんで」見える
  • 笑ったときに唇のボリュームが足りなく見える
  • E-lineよりも唇がかなり内側にある(引っ込んでいる)
  • 「なんとなく顔がのっぺりして見える」と言われたことがある
  • 無意識時に口が開いていないが、唇が自然に閉じていない

✅ 歯の傾斜?骨格?原因を見極めることが大切

「前歯が後退しているから前に出せばいい」という単純な話ではありません。
ポイントは、**「歯の傾斜の問題なのか」それとも「骨格的な後方位なのか」**を見極めること。

  • 傾斜だけの問題であれば:歯の角度を少し起こすだけで印象が大きく改善することもあります。
  • 骨格的に上顎が後方にある場合:歯だけでなく「骨ごと」前に出す必要があるため、**外科的矯正(手術併用)**を検討するケースもあります。

📸 症例12|歯が内側に倒れたタイプのケース

実際の症例として、症例12の患者さまをご紹介します。

  • 歯の傾斜が強く、上の前歯が内側に倒れ込んでいた
  • 骨格的には正常だったため、骨を動かす必要はなし
  • しかしガタガタも強く、スペース不足が顕著だったため、抜歯を併用して治療

このように、**「起こして前へ出す」+「抜歯してスペースを確保する」**という戦略で治療を進めることがあります。


💡 このような治療を行うと…

・上下の咬合バランスが改善しやすくなります
・唇の閉じやすさや口元の自然さが整うケースもあります
・顔全体のバランスが安定しやすくなります(骨格と歯の位置の調和)


▶ Before→Afterを見る

このようなタイプの方に向けたBefore→After写真を掲載しています。
「自分と似てるかも」と思われた方は、ぜひ症例をご覧ください。

🦷 症例12を見る → 歯の傾斜を改善し、スペースを確保した治療例【Before→After写真あり】

症例12の患者さまです。歯が内側に傾斜しているのでやや起こす必要があります。ただし、骨格的には前方位にあり、ガタガタも多いため抜歯が必要となるケースです。

症例35の患者さまです。歯の傾斜度は問題ありません。ただし、骨格的には上顎は後方位にあり、外科矯正治療が必要となるケースです。

上の前歯を後方へ動かしたい場合

出っ歯のように前歯が突出している場合、後方に移動させることで、見た目と機能の改善を図ります。この場合、上の前歯を適正に動かすためにスペースがあるのかを診断する必要があります。もしもスペースがない場合は、抜歯などが必要になる場合があります。

 

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