矯正治療で使うクロージングコイルを徹底解説。50gと100gの違いや使い分け、注意点まで分かりやすく紹介。奈良で矯正なら当院へ。
目次
1. クロージングコイルとは?
矯正治療では、歯をきれいに動かすために「弱く・持続的な力」をかけることが大切です。
そのときに役立つのが クロージングコイル(Ni-Ti コイルスプリング) です。
まず、この装置は 形状記憶合金 で作られているため、長期間にわたり一定の力を保てます。
さらに、抜歯後のスペースを閉じる(クロージング)段階で欠かせない役割を果たします。
その結果、従来のゴムチェーンと比べて効率よく歯を移動させることができるのです。

2. 50g のコイル:犬歯を後方に動かすとき
次に、比較的弱い力を発揮する 50g のクロージングコイルについて解説します。
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主な用途:犬歯(糸切り歯)を後方に移動させ、前歯の排列やリトラクションのためのスペースを確保する。
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使用タイミング:レベリング中や抜歯直後の段階に使用されます。
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選ぶ基準:
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若年者で骨が柔らかい場合
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犬歯の移動距離が短いケース
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歯根や歯周組織に問題がないとき
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注意点:ただし、力が弱すぎると治療の進行が遅れ、逆に強すぎると歯根吸収のリスクが高まるため、適切な調整が必要です。

3. 100g のコイル:前歯を後方に引くとき
一方で、より大きな力が求められる場面では 100g のクロージングコイルが選ばれます。
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主な用途:前歯全体を後方に移動させ、抜歯スペースを効率よく閉じる。
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使用タイミング:犬歯の移動が終わり、前歯をまとめて後退させる段階です。
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選ぶ基準:
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前歯の後退量が多いケース
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残ったスペースが広い場合
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治療期間を短縮したいとき
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注意点:しかし、強い力を長期間かけ続けると痛みや歯根吸収のリスクがあるため、定期的なレントゲン確認が欠かせません。

4.クロージングコイル使用時の注意点
さらに、クロージングコイルを使用する際には以下の点にも注意が必要です。
- 歯根吸収のリスク:過度な力をかけ続けると歯根が短くなる恐れがあります。
- 歯肉の健康管理:炎症や腫れがあると歯の移動が妨げられるため、毎日の歯磨きと定期的なクリーニングが重要。
- 装置の不具合:コイルがフックやワイヤーから外れることもあるので、異常を感じたらすぐ相談してください。
5. よくある質問(Q&A)
Q1. クロージングコイルは痛いですか?
最初の数日は軽い違和感や圧迫感を感じる方が多いですが、通常は数日で慣れます。痛みが長く続く場合は早めにご連絡ください。
Q2. ゴムチェーンとの違いは?
ゴムチェーンは時間とともに力が弱まりますが、クロージングコイルは形状記憶合金により一定の力を長期間発揮できます。
Q3. 治療期間はどのくらいですか?
歯の移動量や抜歯部位によりますが、一般的には数ヶ月〜1年ほどでスペースが閉じていきます。
Q4. コイルが外れたらどうすればいいですか?
外れても無理に付け直さず、そのままご来院ください。装置が外れたまま放置すると治療の後戻りが起こる場合があります。
Q5. 食事制限はありますか?
硬い食べ物や粘着性のある食べ物は装置の破損につながるため注意が必要です。ただし、通常の食事はほぼ問題なく取れます。
6. まとめ
- クロージングコイルは 弱く持続的な力でスペースを閉じる装置。
- 50g は犬歯を後方に動かすときに使用。
- 100g は前歯をまとめて後退させたいときに活躍。
- そのため、治療成功には定期的なチェックと患者さん自身のケアが不可欠です。
筆者:TH

