デンタルモニタリングについて

当院では、なぜデンタルモニタリングを使っているのか?

氏井庸介

氏井矯正歯科クリニック
院長 氏井庸介

DOCTOR PROFILE

2025.07.11

建築と矯正、実はとても似ている

最近、医院のリニューアルも考えていることもあり、建築のブログや施工レポートを読む機会が増えました。

読めば読むほど、「あれ、これ矯正治療と本当に似てるな」と感じます。

たとえば…

  • 土地の条件 → 骨格の状態
  • 設計図の作成 → 治療計画の立案
  • 施主の要望 → 患者さんの希望
  • 工事の進行管理 → 歯の動きの経過確認

特に強く感じたのが、最後の「進行管理=治療経過のモニタリング」です。

家を建てるときも、矯正治療も、設計図だけで完成するわけではありません。


完璧な設計図があっても、現場でズレは起こる

建築現場では、設計通りに工事が進んでいるかを確認するために、

現場監督が常に職人さんの作業や素材の納品状況をチェックしています。

もしも…

  • 壁の位置が数cmずれていた
  • 水道管が間違った場所に通っていた
  • 材料が遅れて届いていた

こういった小さなズレが積もればつもるほど、

完成時に取り返しのつかないトラブルになります。


矯正治療でも、同じことが起こります

たとえば…

  • 装置が外れていたことに気づかず半年間経っていた
  • 歯が予定よりも大きく傾斜して動いていた
  • マウスピースとのフィット感が大きくズレていた

どれも「そのとき気づいていれば、防げたズレ」です。


そこで活躍するのが「デンタルモニタリング(DM)」

DMは、患者さんが自宅でスマホを使って毎週一回お口の中を撮影し、

AIとドクターがそのデータをチェックできるシステムです。

毎週リモートで“現場監督”が進行状況を確認しているようなもの。


✔ DMで確認していることの一例:

  • 装置が正しく装着できているか?
  • 歯の動きに問題がないか?
  • 歯肉の炎症やトラブルの兆候がないか?
  • ゴム・アライナーの使用状況にズレがないか?

DMがあると、どこが変わる?

比較従来の方法DMを使った場合
来院頻度月1回1ヶ月から半年に1回
情報確認来院時のみ毎週スマホで確認可能
ズレの対応1ヶ月後に気づくあるいは気づかない場合もある数日以内に気づける
治療期間ズレが積み重なる計画通り進みやすい

設計図通りに“建てる”ために、監督が必要なんです⇒他の言葉でいいかえて

どんなに素晴らしい設計図があっても、

現場で何が起こっているかを“見ていない”と、ズレに気づけません。

矯正治療もまったく同じ。

治療計画を立てたら終わりではなく、

「計画通りに進んでいるか?」を毎週確認する体制があることで、 結果の精度がまったく違ってくるのです。


そしてそれは、患者さんにとっても安心材料になる

  • 「ちゃんと歯が動いているか不安」
  • 「装置が合っているか自信がない」
  • 「このまま放っておいて大丈夫?」

そんな不安を抱える方でも、DMがあれば、

**「ちゃんと先生が見てくれている」**という安心感が得られます。


まとめ:DMは、矯正治療の“施工監理システム”である

デンタルモニタリングは、

矯正治療における**“現場監督”**であり、

建築における「施工監理」そのものです。

プロとして理想を描くだけでなく、

その理想に向かって日々の現場をチェックし、 小さなズレを早期に修正する。

それが、最終的に「納得のいく完成形」につながるのです。


最後に(実体験)

私自身、分院設計で「建築とは本当にプロセスがすべてだな」と実感しています。

矯正治療も、建築も、設計図だけじゃ終わらない。

プロセスを見守ることが、理想の実現へのカギになる。

だからこそ、私たちはデンタルモニタリングを使っています。

 

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