初診カウンセリングではレントゲン/CTでお口の中をチェックしますが、そのとき**「上の犬歯がまだ生えていない(埋伏している)」ことが見つかる場合があります。
乳犬歯が残っていると気づきにくく、「右は生えたのに左はまだ…」**のような片側だけ遅れているケースも珍しくありません。
「それって本当に問題?」と思われるかもしれませんが、放置で大きなトラブルにつながることがあるため、年齢に応じた対処が大切です。
目次
犬歯って、いつ生えてくるの?
犬歯(糸切り歯)は10〜12歳ごろに生えてくるのが一般的です。
11歳を過ぎても片側だけ生えてこない場合は、いったん専門的なチェックをおすすめします。
📺 「子供の歯の生え方」ミニ解説動画
犬歯が生えてこない原因
- スペース不足:歯並びに犬歯の入る場所がない

- 方向のずれ:犬歯が骨の中で斜め/横向きになっている

犬歯の位置と乳歯が残っている
放っておくとどうなる?
- 隣の歯の根っこが溶ける(歯根吸収)
放置された「ずれた犬歯」が隣接歯の歯根を傷めることがあります。

- 歯並び・噛み合わせの悪化
犬歯が本来の位置に来ないため、全体のバランスが崩れ、矯正が複雑・長期化することがあります。 - 外科処置が必要になることも
成長が進むほど、歯を動かすスペース確保や外科的アプローチの必要性が増します。

何歳でレントゲン/CTを撮るべき?
上の前歯4本(中切歯と側切歯)が生えそろう8歳ごろに、一度犬歯の位置をチェックすることをおすすめします。まずは通常のレントゲンで確認し、必要に応じて範囲を絞った低被ばくCTを用いて立体的に評価します。当院で犬歯の位置チェックに使うCTは低線量モードで約11マイクロシーベルトとなっており、これは日本人が1日に自然界から受ける放射線量(約6.6マイクロシーベルト)と比較しても安心できるレベルです。

小学生の埋伏犬歯の治療
① レントゲンで早めにリスクチェック
犬歯が骨の中で前に倒れてしまっていると、生える方向を見失ってしまうことがあります。
レントゲンではその位置や角度が確認でき、埋伏リスクを早期に見つけることが可能です。
とくに「11歳を過ぎても犬歯が片側だけ出てこない」場合は、一度のチェックをおすすめします。

② 必要に応じて乳歯の抜歯で道を開ける
乳歯が邪魔をして、永久歯が出てこられないこともあります。
このような場合には、周囲の乳歯を抜くことで、自然に出てくるスペースをつくることが大切です。
“こどものうちの処置”で、将来の大がかりな治療を回避できることもあります。

③ 出てこない場合は、外科的牽引へ
もし自然に出てこない場合は、外科的に歯ぐきを開いて犬歯の頭を出し、装置で引っ張る方法を行います。
これは「開窓牽引(かいそうけんいん)」と呼ばれ、埋まっている犬歯を正しい位置に導くための方法です。
当院では、痛みや腫れが少ないように処置内容を工夫しています。
④ 犬歯が出てきました
牽引を続けることで、少しずつ犬歯の頭が見えてきます。
出てきた後も、周囲の歯とぶつからないようにワイヤーでスペースを整えながら慎重に治療を進めます。
こうして1本1本の歯が、本来あるべき位置にしっかりと並んでいきます。

📖 実はこんな論文もあります
私たちが日々の治療に活かしているのは、経験だけではありません。
たとえば、**アメリカの矯正歯科学会誌**では、以下のような報告があります。
「7〜8歳の時点で急速拡大(RME)を行うと、犬歯の角度・位置が改善しやすい」
「特に8歳未満での処置が、最も統計的に有意だった」
これはまさに、**「タイミングが命」**ということを裏付けてくれるデータです。
だからこそ、私たちは「まだ症状がないうちからのチェック」を大切にしています。
もしかすると、11歳ではなく8歳ごろに一度レントゲンで位置を確認しておくと、
将来の不安や大がかりな処置を避けられるかもしれませんね。

🗓 不安があれば、まずはカウンセリングにご相談ください
「今すぐ治療が必要なのか?」
「このまま様子を見ていて大丈夫なのか?」
そんなお悩みがあれば、まずはカウンセリングで一緒に確認してみませんか?
当院では、必要に応じて低被ばくの簡易レントゲンでのチェックも行っております。
