矯正治療

ワイヤー矯正の4つの段階|治療の進み方を専門医がわかりやすく解説

氏井庸介

氏井矯正歯科クリニック
院長 氏井庸介

DOCTOR PROFILE

2024.06.09

矯正相談で必ず聞かれる質問のひとつが、
「どれくらいで治療が終わりますか?」 です。

ワイヤー矯正は“つけたらすぐ治る”治療ではなく、
4つのステージを順番に進みながら、少しずつ歯が整っていく治療 です。

この4ステージを理解すると
「今どこにいて、次に何が起こるのか」が見え、
治療の全体像がわかりやすくなります。

ここではワイヤー矯正の“進み方”を
できるだけやさしくまとめました。

① レベリング|ガタガタを整える最初のステージ

矯正治療 段階

ここが矯正のスタートです。

レベリングで起こること

  • 歯列のガタガタ(叢生)が改善
  • 歯の高さがそろい始める
  • アーチ(歯列のカーブ)が整う
  • 見た目の変化が早く出やすい

よく使われるニッケルチタンワイヤーは柔らかく、
歯に過度な負担をかけず、自然な力で歯が並びます。

最初の1〜2か月で変化を実感しやすい時期です。

ただし、

  • 根っこが長い犬歯
  • 骨の厚い部分
    は動き出しが遅いことがあります。

 

② クロージング|抜歯スペースを閉じる治療の中心

抜歯症例では、ここが治療の“山場”です。

クロージングで起こること

  • 抜歯スペースを閉じる
  • 前歯の角度(トルク)を整える
  • 横顔のバランスが変わってくる

ただ、このステージは変化が見えにくく、
「進んでるのか分からない…」 と感じやすいのも特徴。

さらに、スペースが閉じてくると
噛み合わせが深くなる現象 が起こります。
(→ここがクロージングの最大の注意ポイントで、別記事で詳しく説明します)

 

 

③ ディテーリング|噛み合わせを仕上げるステージ

見た目の大きな変化は少なくなりますが、
治療の質が最も決まるステージ です。

● ディテーリングの目的

  • 噛み合わせの細かいズレを整える
  • 左右のバランスを微調整
  • 前歯の角度(トルク)を揃える
  • 長期的に安定する位置へ歯を誘導する

「あと少し」の期間が長く感じられますが、
ここを丁寧に仕上げることで

④ リテンション|動いた歯を守るステージ

実は、治療後にいちばん大切なのがこのフェーズ。

● リテーナーの役割

  • 動いた歯が戻るのを防ぐ

  • 骨(歯周組織)が安定するまでサポート

  • 特に“治療後3〜6ヶ月”が重要

矯正は「動かす治療」だけでなく、
“動いた位置を守る治療”でもあるんです。


⑤ DM(デンタルモニタリング)で4ステージが“見える”時代に

ワイヤー矯正の弱点は 変化が分かりにくいこと
でも DMを使えば全部スマホで見える化できます。

● DMで分かること

  • レベリングの動き

  • 抜歯スペースの閉じぐあい

  • 犬歯が動き出すタイミング

  • ワイヤーの浮き

  • 左右差

  • リテーナーのフィット

  • 後戻りの初期サイン

「順調に進んでますよ」という言葉が
**データとして“自分の目で確認できる”**のがDMの強み。


まとめ|ステージを知ると矯正が分かりやすくなる

ワイヤー矯正は
レベリング → クロージング → ディテーリング → リテンション
というステージで進んでいきます。

ステージを知るだけで、
「今どこを治してるのか?」が理解しやすくなります。

 

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