矯正治療

歯を抜くワイヤー矯正の4つのステップ      

氏井庸介

氏井矯正歯科クリニック
院長 氏井庸介

DOCTOR PROFILE

2025.11.14

矯正相談で必ず聞かれる質問のひとつが、
「どれくらいで治療が終わりますか?」 です。

ワイヤー矯正は“つけたらすぐ治る”治療ではなく、
4つのステージを順番に進みながら、少しずつ歯が整っていく治療 です。

この4ステージを理解すると
「今どこにいて、次に何が起こるのか」が見え、
治療の全体像がわかりやすくなります。

ここではワイヤー矯正の“進み方”を
できるだけやさしくまとめました。

① 整える(レベリング)|ガタガタを整える最初のステージ

矯正治療 段階

ここが矯正のスタートです。

レベリングで起こること

  • 歯列のガタガタ(叢生)が改善
  • 歯の高さがそろい始める
  • アーチ(歯列のカーブ)が整う
  • 見た目の変化が早く出やすい

よく使われるニッケルチタンワイヤーは柔らかく、
歯に過度な負担をかけず、自然な力で歯が並びます。

最初の1〜2か月で変化を実感しやすい時期です。

ただし、

  • 根っこが長い犬歯
  • 骨の厚い部分
    は動き出しが遅いことがあります。

 

② 閉じる(クロージング)|抜歯症例の中心となるステージ

 

抜歯スペースを閉じていくステージで、
抜歯矯正の“山場”ともいえる大事な工程です。

ここでは、

 

  • 抜歯スペースを閉じる

  • 前歯の角度(トルク)を整える

  • 横顔の変化が出てくる

といった大きな変化が起こります。

スペースは毎日少しずつ閉じますが、
月単位では「閉じてきたのが分かる」ステージ でもあります。

当院では、毎回の診察で
スペース量をメジャーで測定し、数字で一緒に確認しています。
さらに モニタリング(DM+)を併用することで、
AIが自動的に距離を測定し、進行状況を数値化
しています。

この時期に出やすい現象

  • 右だけ閉じて、左が遅れる(左右差)

  • コイルが歯ぐきに食い込む(装置の問題)

  • 隙間がとじにくい(個人差)

 

こうした場合は、

  • ワイヤーメカニクスへ切り替える

  • 必要に応じて“閉じるスピードを少し加速させる調整(RAP)”を行う

といった方法で対応します。
患者さんによって、骨の厚み・犬歯の動きやすさ・摩擦量が違うため、
調整はその人ごとに変わります。


この時期の注意点

スペースが閉じてくるにつれ、
噛み合わせが深くなりやすい(過蓋咬合に寄りやすい) のも、
クロージング特有の現象です。

③ 仕上げる(ディテーリング)|治療の“質”をつくるステージ

ここは見た目の変化が少ないため、
“長く感じやすい” 時期ですが、
治療の完成度を左右する最重要ステージ です。

整えるポイントは、

  • 前歯の角度(トルク)
  • 上下の噛み合わせ
  • 歯と歯の当たり方

など、細かい部分。

特に 犬歯の角度(トルク) が重要で、
少し傾くと噛み合わせが深くなったり、
左右差が出たりします。

当院では
DM+(デンタルモニタリング+)の角度データ を参考にしながら、
“犬歯や前歯の向きがぶれていないか”をチェックして微調整します。

 

 

④ リテンション|動いた歯を守るステージ

 

実は、治療後にいちばん大切なのがこのフェーズ。

● リテーナーの役割

動いた歯が戻るのを防ぐ

骨(歯周組織)が安定するまでサポート

特に“治療後〜6ヶ月”が重要

矯正は「動かす治療」だけでなく、
“動いた位置を守る治療”でもあるんです。

 

⑤ DM(デンタルモニタリング)で4ステージが“見える”時代に

矯正治療の弱点は 変化が分かりにくいこと
でも DMを使えばスマホで見える化できます。

● DMで分かること

レベリングの動き

抜歯スペースの閉じぐあい

リテーナーのフィット**データとして確認できる”**のがDMの強み

■ まとめ|4ステップを理解すると治療が分かりやすくなる

抜歯矯正は
整える → 閉じる → 仕上げる → 守る
という4ステップで進みます。

この流れを知っているだけで、
治療中の不安が大きく減り、
“今どこにいるのか”が分かりやすくなります。

🎯 ここまで読んでくださった方へ

「抜歯が必要なのか知りたい…」
「治療はどれくらいかかるの?」
「どのステップにいるのか、自分でも把握したい」
「横顔やかみ合わせがどう変わるのか気になる」

そんな方は、まず CT診断つきカウンセリング から始めてみてください。

骨格や歯の角度、噛み合わせを
3Dデータで詳しく分析し、
“どんなステップで進むのか” を一緒に確認
していきます。


🦷 ▶ 今の歯並びをチェックしてみる(CTカウンセリング)

※初回カウンセリングでは、
CTと3D分析を用いて
治療の流れ・期間・費用をわかりやすく説明します。

 

院長の症例報告が海外の歯科専門誌に掲載されました。

当院の治療症例が オーストラリアの歯科専門誌「AUSTRALASIAN DENTIST」 に掲載されました。
海外でも評価された治療技術と診断力をもとに、
患者さま一人ひとりに最適な矯正治療をご提供しています。

閉じる(クロージング)に関してはこちらの記事をお読みください

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