当院では、個々の患者のニーズに対応した治療計画を提供して治療を行っています。このブログでは、矯正治療で歯がどのように動くのか、当院の矯正歯科医が治療中にどんな点を重視しているのかを、わかりやすくお伝えします。
目次
歯の移動のメカニズム
正治療における歯の移動は、主に歯周組織の適応能力に依存しています。矯正装置から適用される力は、歯の周囲の骨と歯周組織に影響を与えます。この力に対する歯周組織の反応は、骨のリモデリングを促進し、歯を新しい位置に動かすことを可能にします。具体的には、力が適用される側では骨が吸収され、反対側では新しい骨が形成されます。まずは、歯と歯周組織の構造について説明します。
歯と植木鉢: 類似性を通じて歯の構造を簡単に理解する
歯(葉)
歯は植物の葉のように、外部環境に直接触れる部分です。葉は光合成を通じて栄養を作り、歯は咀嚼を通じて食べ物を分解し、消化を助けます。
土(骨)
植木鉢の土は、植物の根を支え、栄養と水を提供する役割を果たします。同様に、顎の骨は歯根を支え、歯がしっかりと位置を保つ基盤を提供します。
根(歯根)
植物の根は土の中で固定され、植物に安定と栄養を提供します。歯の根は顎の骨に固定され、歯に安定性と栄養供給を提供し、正しい位置に保ちます。
細かい根っこ(歯根膜):矯正治療で一番重要!
接触を増やします。歯根膜は、歯根と顎の骨との間の微妙な接続を提供し、歯の移動や感触を調節し、同時に栄養と酸素を歯根に供給します。
ワイヤー矯正による骨リモデリングについて(代謝)
約数時間後
適切な力が適用されてから歯根膜の活性化が数時間後に見られます。これにより、矯正治療の初期段階で痛みを感じる理由の一部である可能性があります。
2.3日から1週間
通常、力が初めて適用された後の2〜3日間は、これらの感覚が最も強く感じられる時期です。痛みは、炎症反応と骨のリモデリングの自然な結果と考えられています。しかし、時間とともに、体が治療に適応し、痛みは減少する傾向があります。
10日ないし3週間後
力を加えた歯根膜の幅が、また正常の範囲内に戻ろうとして歯が再び移動します。まれに、約3週間後に歯が痛いとおっしゃられるかたはこの生理的な反応が原因と考えられます。
1ヶ月後
一連の歯周組織のリモデリングが終了するので、再び来院していただき矯正力を加えて歯を動かしていきます。
モニタリング
矯正治療を進める上で、定期的なモニタリングは非常に重要です。それぞれの患者さんの治療プロセスは独特であり、治療計画通りに進行しているか、歯と歯周組織の健康状態を確保しているかを確認する必要があります。適切なモニタリングを行うことで、その日の治療計画を適切に調整し、進めることができます。
抜歯スペースの測定
抜歯スペースの正確なモニタリングにより、歯が正しい位置に整列されることを保証し、スペースが適切に利用されることを確認できます。また、治療期間を最適化し、効果的で効率的な治療を行う上で重要です。
治療計画通りの動きの確認
治療開始時に設定した目標と現在の進捗を比較し、必要に応じて治療計画の微調整を行います。アゴの位置が大きく変化したときなどは、再診断を行う必要があります。
歯周組織の健康状態の確認
矯正治療中に、プラークによる歯ぐきの炎症や歯ぐきがさがる(歯肉退縮)、ブラックトライアングル(歯間の黒い影)、または他の問題が起こる可能性があります。毎回、確認して必要であれば適切な対処することが重要です。
歯根吸収のチェック
矯正治療中には歯根吸収が起こる可能性があり、これは歯の健康と治療の効果に影響を与える可能性があります。X線やCTスキャンを使用して歯根の状態を確認し、必要に応じて治療計画を調整します。
デンタルモニタリング
デンタルモニタリングは、患者様がスマートフォンのアプリと専用ツールを使って口内の写真を定期的に撮影し、AIと医師が遠隔で矯正治療の進捗状況を確認するシステムです。
AIによる矯正装置の早期トラブル検出と治療計画の効率化
デンタルモニタリングは、マウスピース型矯正装置の適合やワイヤーの矯正装置の脱離や破損などをAIが自動的に確認することができ、予期せぬ問題や治療計画の遅延を早期に発見し、必要な調整を行うことができます。
診療回数の削減
デンタルモニタリングは、必要に応じてリモートで治療の進行状況を確認できるため、患者の診察回数を削減することが可能となります。これは特に遠方から来院する患者や忙しい日常を送る患者にとって利点となります。(現時点ではマウスピース治療のみ限定となります)
歯の移動距離の測定(3Dプラン限定)
特にアンキローシス(歯と歯槽骨との病的接合)の疑いがある歯に対しては、移動距離の測定は診断の助けとなります。アンキローシスは歯の正常な動きを阻害するため、移動距離の測定を通じてこの状態を確認し、治療計画を適切に調整することが可能となります。