矯正装置をつけた翌日、頬の内側がヒリヒリして目が覚めた。食事のたびにしみるし、寝返りを打つだけで痛い。
矯正中の口内炎は、ほとんどの方が一度は経験します。ただし、原因と対処法を知っていれば、痛みをやわらげられる可能性が高くなります。
この記事では、なぜ矯正で口内炎ができるのか、自分でできる4つの対策、そして眠れないほど痛いときにどうすればいいかを、矯正専門医の立場からお伝えします。
この記事でわかること
- 矯正で口内炎ができるのは普通?
- 矯正の口内炎は何日で治る?
- 痛くて眠れないときはどうする?
- どんなときに歯科医院に連絡すべき?
目次
矯正中に口内炎ができる3つの原因
矯正中の口内炎には、大きく分けて3つのパターンがあります。原因がわかれば対策も変わるので、まずは「自分はどのタイプか」を把握してください。
1ブラケットやワイヤーが粘膜に当たる
最も多いパターンです。ブラケット(歯に接着する装置)の角やワイヤーが、頬の内側・唇の裏・舌に触れ続けることで粘膜が傷つき、口内炎になります。
特に装置をつけた直後や、ワイヤーを交換した後の数日間に起きやすくなります。
装置が粘膜に当たってできた口内炎の例
2ワイヤーの端が刺さる
歯が動いてくると、ワイヤーの端が奥歯の後ろから飛び出してくることがあります。これが頬の奥に刺さると、ピンポイントで強い痛みが出ます。
このタイプは自分でワックスを貼るだけでは解決しにくく、ワイヤーをカットする処置が必要なこともあります。
ワイヤーの端が奥歯の後ろから飛び出して頬に刺さることがある
3マウスピースの縁が当たる
マウスピース矯正でも口内炎は起きます。マウスピースの縁が歯茎に食い込んだり、舌に当たったりして粘膜を傷つけることがあります。ワイヤー矯正ほど頻度は高くありませんが、ゼロではありません。
矯正中の口内炎|自分でできる対処法4つ
口内炎ができてしまったとき、来院日まで待てないこともあります。ここでは、自宅でできる対策を4つ紹介します。
1矯正用ワックスで装置を覆う
最もシンプルで即効性がある方法です。白い粘土状のワックスを、痛みの原因になっている装置の上に貼りつけて粘膜を保護します。
使い方のコツ
- 装置の周りの水分をティッシュで拭き取ってから貼る(濡れていると剝がれやすい)
- 小豆くらいの大きさにちぎって丸め、装置を覆うように押しつける
- 食事前に外し、食後に新しく貼り直す
- 飲み込んでも体に害はありません
ワックスの詳しい使い方はこちらの記事でも解説しています。
→ 矯正装置のトラブルについての対応(ワックス)
ワックスを装置に貼り付けて粘膜を保護する(Licensed to Ujii Orthodontics)
2口内炎パッチを貼る
薬局で手に入る口内炎パッチ(貼り薬)も有効です。口内炎に直接貼ることで痛みをやわらげ、治りを早めます。食事や会話のときに患部が装置に触れるのを防ぐ効果もあります。
痛みがひどい場合は、パッチを貼った上からワックスで覆う合わせ技も有効です。粘膜の保護が二重になるため、重症の方でも食事が楽になります。
3食事を工夫する
口内炎が痛いときは、食べるもので痛みの強さがかなり変わります。
| 避けたい食べ物 | おすすめの食べ物 |
|---|---|
| 酸味が強いもの(柑橘類・トマト) | おかゆ・雑炊・うどん |
| 辛いもの・刺激の強い調味料 | 豆腐・卵料理・スープ |
| 硬いもの(せんべい・ナッツ) | バナナ・ヨーグルト |
| 熱すぎる飲食物 | ぬるめの温度に冷ましたもの |
矯正中の食事全般については、こちらの記事で詳しくまとめています。
→ 矯正中の食事で気をつけること|食べていいもの・避けたいもの一覧
4十分な睡眠をとる
疲れや睡眠不足は口内炎を悪化させます。矯正中は体にストレスがかかっている状態なので、とくに睡眠を削らないようにしてください。
矯正の痛みで眠れないときの対処法
痛みで眠れないのは本当につらいことです。まずは以下の3つを試してください。
1. 痛み止めを飲む
当院では矯正装置をつけた際に痛み止めをお渡ししています。当院でお渡しした痛み止め、または一般的な鎮痛薬(ロキソニンなど)でも対応可能です。就寝の30分前に服用すると、寝つきが楽になります。
2. ワックスを多めに貼って寝る
寝ている間は唇や頬の位置が変わりやすく、装置に当たりやすくなります。就寝前にワックスをやや多めに貼っておくと、夜間の痛みがやわらぎます。
3. 翌朝すぐに連絡してください
眠れないほどの痛みが続く場合は、ワイヤーの端が刺さっている可能性があります。我慢せず、翌朝すぐにクリニックに連絡してください。ワイヤーのカットや調整は短時間で終わります。
どんなときに歯科医院に連絡すべき?
以下の場合は、我慢せずにご連絡ください。
- ワイヤーが頬に刺さっている感じがある
- ワックスを貼っても痛みが改善しない
- 眠れないほどの痛みが続く
- 同じ場所に何度も口内炎ができる
- 2週間以上治らない
矯正中の痛みは「我慢するもの」ではなく、「調整で解決できるもの」です。多くの場合、5分程度の処置で改善します。
当院ではデンタルモニタリングを導入しており、患者さんが自宅からスマートフォンで撮影した口腔内写真をAIが解析します。口内炎や装置のトラブルを来院前に把握できるため、痛みが長引くのを防げます。
デンタルモニタリングについて詳しくはこちら
→ DM+とワイヤー矯正について
矯正の口内炎は何日で治る?
多くの方が、装置をつけた直後は3日〜1週間ほど痛みを感じます。ただし、装置に慣れてくると痛みは2〜3日で落ち着くようになり、口内炎の頻度も減っていきます。
痛みの変化の目安
- 装置をつけた直後: 痛みの程度 6〜8/10、持続期間 3日〜1週間
- 慣れてきた頃(1〜2ヶ月後): 痛みの程度 1〜5/10、持続期間 2〜3日
口の中の粘膜は数週間で装置の形に適応していきます。最初の1ヶ月を乗り越えれば、口内炎で悩むことはかなり少なくなります。
矯正治療の痛み全般についてはこちらの記事でも解説しています。
→ 矯正治療によくある3つの痛みについて
院長より
私自身も大学の実習で矯正装置を経験したことがあり、最初の1週間の痛みは今でもはっきり覚えています。正直つらかったです。
だからこそ、患者さんが「痛い」と言ってくれたとき、それを軽く見ることはありません。ワイヤーの端が刺さっているなら切ればいい。ブラケットが当たるならワックスの使い方を一緒に練習すればいい。
痛みは我慢するものではなく、解決するものです。「これって普通なのかな?」と不安な方は、初診相談でお気軽にご相談ください。痛みの原因を確認し、必要であればその場で調整します。
氏井矯正歯科クリニック 院長 氏井庸介
よくある質問
Q. 矯正で口内炎ができるのは普通ですか?
A. はい、多くの方が一度は経験します。装置が粘膜に当たることで起きる「外傷性の口内炎」がほとんどです。装置に慣れるにつれて頻度は減っていきます。
Q. 矯正中の口内炎は何日くらいで治りますか?
A. 通常5〜7日で治ります。ワックスで原因となる装置を覆い、口の中を清潔に保てば、より早く治る傾向があります。2週間以上治らない場合は、別の原因の可能性があるので歯科医院に相談してください。
Q. マウスピース矯正でも口内炎はできますか?
A. ワイヤー矯正より頻度は低いですが、マウスピースの縁が歯茎や舌に当たって口内炎ができることがあります。当院ではマウスピースの縁を研磨するなどの調整で対応しています。
Q. 矯正用ワックスを飲み込んでしまっても大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。矯正用ワックスは体に無害な素材でできており、誤って飲み込んでもそのまま体外に排出されます。安心して使ってください。
Q. 矯正の痛みはどれくらい続きますか?
A. 装置をつけた直後やワイヤー交換後は3日〜1週間ほど痛みを感じる方が多いです。1〜2ヶ月で装置に慣れると、痛みは2〜3日で落ち着くようになります。
Q. 痛くて眠れないときはどうすればいいですか?
A. 痛み止め(当院でお渡しした薬やロキソニンなど)を就寝30分前に服用し、ワックスを多めに貼って寝てください。それでも改善しない場合は、翌朝クリニックにご連絡ください。
Q. 口内炎がひどいとき、矯正治療を一時中断できますか?
A. 基本的に装置を外すことはありませんが、原因を取り除けば痛みは改善します。ワイヤーの端のカットやブラケットの調整など、短時間の処置で対応できますので、まずはご連絡ください。
Q. 口内炎にビタミン不足は関係ありますか?
A. 関係することはあります。ビタミンB2・B6などの不足はアフタ性口内炎(装置とは無関係にできる口内炎)のリスク因子として知られています。ただし、矯正中の口内炎のほとんどは装置の刺激によるものなので、まずはワックスや装置の調整で対応するのが基本です。極端な偏食がある方や、再発を繰り返す方は、食事のバランスを見直すとよいでしょう。
Q. 受診したほうがいいサインは何ですか?
A. ワイヤーが頬に刺さっている感じがある、ワックスを貼っても改善しない、眠れないほど痛い、同じ場所に繰り返しできる、2週間以上治らない、のいずれかに当てはまる場合は早めにご連絡ください。
まずは気軽に → 初診相談(無料)の詳細はこちら
※本記事は矯正専門医の臨床経験に基づいて作成しています