「歯並びのガタガタが昔から気になっている。でも30代になった今から矯正を始めても遅いのでは?」——そのように悩んで、一歩を踏み出せずにいる方は少なくありません。結論からお伝えすると、歯並びのガタガタ(叢生)は、大人になってからでも、状態によっては歯を抜かずにマウスピース矯正で改善できる場合があります。今回は、38歳の女性が非抜歯のマウスピース矯正で歯並びと噛み合わせを1年9ヶ月で整えた症例を、治療前後の写真・経過・費用とともにご紹介します。
目次
症例:歯並びのガタガタ(叢生)を非抜歯のマウスピース矯正で改善(症例No.25)
| 患者 | 症例No.25 / 38歳・女性 / 京都 |
|---|---|
| 主なお悩み | 歯並びのガタガタを改善したい |
| 診断名 | 叢生(そうせい)=歯がでこぼこに重なっている状態 |
| 使用した装置 | マウスピース矯正 |
| 抜歯 | なし(非抜歯) |
| 治療期間 | 1年9ヶ月 |
| 治療費(治療開始時) | 940,000円(税込/精密検査55,000円・毎回の処置料3,300円は別) |


治療結果には個人差があります。
治療前は、上下の前歯が重なり合い、ねじれて生えている状態でした。治療後は、歯の重なりが解消して歯列のアーチが整い、歯並びだけでなく噛み合わせもきれいに改善しています。ガタガタが解消すると、見た目の印象が変わるだけでなく、歯ブラシが届きにくかった場所がみがきやすくなるため、むし歯や歯周病の予防の面でもメリットがあります。
歯並びのガタガタ(叢生)とは?
叢生(そうせい)とは、歯がきれいなアーチに並びきらず、重なったりねじれたりしている状態のことです。「歯並びがガタガタ」「八重歯」と呼ばれる状態も叢生の一種です。主な原因は、あごの大きさと歯の大きさのバランスで、歯が並ぶためのスペースが足りないことです。
叢生は見た目のお悩みとして相談されることが最も多い歯並びですが、歯が重なった部分は歯ブラシが届きにくく、むし歯や歯周病のリスクが高くなりやすいという機能面の問題もあります。叢生の基本的な解説は叢生(デコボコ)についてもあわせてご覧ください。
なぜ、歯を抜かずに治療できたのか
叢生の治療では、重なっている歯をきれいに並べるためのスペースをどう確保するかが治療計画の中心になります。スペースを作る方法は、大きく分けて次の3つです。
① 歯列の幅やアーチを整える
狭くなっている歯列のアーチを本来の形に整えて、歯が並ぶスペースを確保します。
② 歯と歯の間をわずかに調整する
歯と歯の間をごくわずかに調整してスペースをつくる処置(スライスカット)です。歯を抜かずにスペースを確保する方法の一つです。
③ 抜歯でスペースをつくる
でこぼこの量が大きい場合や、口元を大きく下げる必要がある場合に検討します。
本症例では、精密検査の結果、でこぼこの量に対して抜歯をせずに①②の方法でスペースを確保できると判断し、非抜歯のマウスピース矯正を選択しました。「ガタガタが強いから抜歯」と見た目だけで決まるわけではなく、でこぼこの量・歯の傾き・口元のバランス・噛み合わせを検査で確認して判断します。抜歯の判断基準は矯正で抜歯は必要?判断基準の記事で詳しく解説しています。
30代・40代からの矯正治療で気をつけること
「大人になってからの矯正は遅い」と思われがちですが、歯と歯を支える組織が健康であれば、年齢を重ねてからでも矯正治療は可能です。実際、当院には30代・40代で矯正治療を始める方が多く来院されています。治療期間についても、年齢による差は一般的に小さく、大きく変わるものではありません。
一方で、大人の矯正では次の点に注意が必要です。
- 歯周病のチェック:歯を支える骨や歯ぐきの状態を治療前に確認します。歯周病がある場合は、先に歯周治療を行ってから矯正を始めます
- 治療済みの歯:詰め物・被せ物がある歯も、多くの場合は問題なく動かせますが、治療計画の中で考慮します
- ブラックトライアングル:重なっていた歯を並べると、歯と歯の間の歯ぐき側に三角形のすき間(ブラックトライアングル)が生じることがあります。大人の叢生の矯正では特に治療前の説明が大切なポイントです。詳しくは矯正で見落とせない3つの「歯のサイズ問題」|ボルトン分析・矮小歯・ブラックトライアングルで解説しています
- かかりつけ歯科との連携:むし歯などの一般歯科治療は、かかりつけ歯科医院と連携しながら進めます
本症例の方にも治療済みの奥歯がありましたが、精密検査で状態を確認したうえで、問題なく治療を進めることができました。
マウスピース矯正を選んだ理由と治療の進め方
マウスピース矯正とワイヤー矯正は、どちらも歯に力を加えて動かすという原理は同じで、得意とする場面が異なります。本症例のように、歯列の幅の調整と歯の重なりの解消が中心となる治療は、マウスピース矯正で対応しやすいケースの一つです。
また、マウスピースは取り外しができるため、食事や歯みがきを普段どおりに行えるのが特徴です。仕事や家庭で忙しい30代・40代の方でも、生活を大きく変えずに治療を続けやすい装置です。ただし、1日22時間以上の装着が前提となるため、装着時間を守れることが治療を計画どおり進める条件になります。
治療の経過|1年9ヶ月で歯並びが整うまで
マウスピースを段階的に交換しながら、歯の重なりを少しずつ解消していきました。8ヶ月の時点で前歯の重なりが目に見えて改善し、16ヶ月の時点では歯列のアーチがほぼ整っています。
スライダーを動かすと、歯の重なりが解消していく様子がわかります
費用と期間の目安
※以下は現在の当院の料金です。この患者さまの治療開始時の料金とは異なる場合があります。
| 初診相談 | 無料 |
|---|---|
| 精密検査 | 16,500円(初診相談から3ヶ月以内は4,400円割引) |
| マウスピース型矯正装置(全期治療) | 89万〜99万円(税込) |
| 毎回の調整料 | 4,400円/回 |
治療期間は歯並びの状態によって変わります。今回の方は1年9ヶ月でしたが、これはあくまで一例です。当院の治療期間の実績データは矯正治療の期間はどれくらい?300症例以上のリアルデータで公開しています。最新の料金は料金ページでご確認ください。
よくある質問
- Q. 歯並びのガタガタ(叢生)はマウスピース矯正で治せますか?
- でこぼこの量や歯の傾き、噛み合わせの状態によっては、マウスピース矯正で改善できます。今回の症例でも、歯を抜かずにマウスピースのみで歯並びと噛み合わせを整えました。適応かどうかは精密検査で判断します。
- Q. 30代・40代から矯正を始めても遅くないですか?
- 遅くありません。歯と歯を支える組織が健康であれば、大人になってからでも矯正治療は可能です。今回の症例の方も38歳で治療を開始し、1年9ヶ月で歯並びと噛み合わせが改善しました。治療前に歯周病の状態を確認することが大切です。
- Q. ガタガタの矯正で抜歯は必要ですか?
- でこぼこの量によります。歯列のアーチを整えたり、歯と歯の間をわずかに調整したりすることでスペースを確保できる場合は、歯を抜かずに治療できます。でこぼこの量が大きい場合は抜歯が適していることもあります。
- Q. 詰め物や被せ物があっても矯正できますか?
- 多くの場合は可能です。治療済みの歯の状態を精密検査で確認したうえで、治療計画に組み込みます。必要に応じてかかりつけ歯科医院と連携しながら進めます。
- Q. 遠方からでも通院できますか?
- 今回の症例の方は京都から通院されていました。通院間隔は治療内容や歯の動きによって異なりますので、初診相談の際にご相談ください。
院長より
歯並びのガタガタは、「もう大人だから」「今さら遅いから」と諦めてしまっている方が本当に多いお悩みです。しかし、歯と歯ぐきが健康であれば、年齢を理由に矯正を諦める必要はありません。大切なのは、でこぼこの量・歯の傾き・噛み合わせ・歯周組織の状態を検査で確認し、抜歯が必要なのか、どの装置が適しているのかを診断することです。今回の症例のように、歯を抜かずにマウスピース矯正で改善できる場合もあります。長年気になってきた歯並びがある方は、まず今の状態を確認することから始めてみてください。