マウスピース矯正で治せるかどうかは、歯並びの乱れの原因が「歯の傾き」にあるのか、「顎の骨格」や「歯の根の向き」にあるのかで決まります。同じように見える歯並びでも、原因が違えば治し方も変わります。当院ではCT検査で根の先まで確認したうえで、正直にお伝えします。
マウスピースで治せる歯並び
次のような歯並びは、マウスピース矯正で対応できることが多いケースです。
デコボコ(叢生)
いちばんご相談の多い歯並びです。軽度〜中等度なら、歯と歯の間をわずかに整えたり歯列を広げてスペースを作り、マウスピースで並べていけます。
▶︎ この症例の経過を見る(症例集 No.18)
出っ歯(歯が原因の上顎前突)
前歯の”傾き”が原因の出っ歯は、マウスピースで対応できます。上あごだけが出ているタイプは、骨格性であってもマウスピースで対応できることがあります。
▶︎ この症例の経過を見る(症例集 No.61)
開咬(奥歯の位置が原因の場合)
奥歯をかみ合わせても前歯が閉じない状態です。奥歯を歯ぐき側に沈める動き(圧下)はマウスピースが得意とするため、奥歯の位置が原因の開咬は対応できることがあります。
▶︎ この症例の経過を見る(症例集 No.59)
デコボコ(抜歯あり・動かす量が少ない場合)
抜歯が必要なデコボコでも、抜いたスペースを閉じるための移動量が少ない場合は、マウスピースで対応できます。移動量が大きい場合は、ワイヤーやハイブリッドで対応します。
※ このほか、すきっ歯・軽度の口元の突出(口ゴボ)も対応できることが多い症状です。当院の実際の治療例(症例No.○○ / 症例No.○○)をお見せしながらご説明します。
マウスピースだけでは
難しい歯並び
次のような場合は、マウスピース単独では難しく、ワイヤーの併用(ハイブリッド)や部分的なワイヤー・外科矯正が必要になります。当院はどちらも対応できるので、他院に移っていただく必要はありません。
正中が大きくずれている
正中が大きくずれている場合、顎の骨格からのずれが大きく、マウスピース(裏側矯正を含む)では非常に難しくなります。
犬歯(3番)が埋まっている
犬歯の根の先が隣の歯のほうを向いている場合、マウスピースで「回す」ことができません。ワイヤーによる部分的な牽引や、アンカースクリューとの併用で対応します。
歯が小さい(矮小歯)
一部の歯が生まれつき小さい場合、歯を並べてもすき間が残ることがあります。歯を動かすことはできますが、すき間を埋めるには被せ物などで歯の形を整える処置(補綴)を組み合わせる必要があり、マウスピース単独では仕上がりに限界があります。
口元を”劇的に”引っ込めたい上下の前突
上下の前歯が前に出ていて(バイマックス)、口元を大きく下げたいご希望が強い場合、マウスピース単独では厳しく、ワイヤー併用や裏側矯正を検討します。
▶︎ この症例の経過を見る(症例集 No.79)矯正装置の比較
一般的な違い
| 項目 | マウスピース | ワイヤー |
|---|---|---|
| 見た目 | 透明で目立ちにくい | 装置が見える(裏側は正面から見えない) |
| 取り外し | 可能 | 不可 |
| 痛み | 移動量が小さく穏やか | 調整直後に痛みが出やすい |
| 通院頻度 | 2〜3か月に1回 | 1か月に1回 |
| 食事 | 制限なし | 硬い・粘着物に注意 |
| 歯磨き | 取り外して普段どおり | 汚れが残りやすい |
| 対応できる症例 | 軽度〜中等度が中心 | 幅広い症例に対応 |
| 自己管理 | 装着時間の管理が必要 | 装着したまま・管理不要 |
抜歯矯正における違い
抜歯をして大きくスペースを閉じる治療では、ワイヤーとマウスピースの差がはっきり出ます。
1. スピード
抜いたスペースを閉じるには歯を大きく動かします。ワイヤー(ジェットシステム)は速く確実に動かせますが、マウスピースはゆっくりで、時間がかかります。
2. 歯の傾斜への対応
スペースを閉じるとき、歯を根ごと平行に動かしたり、歯の傾きを整えたりする必要があります。ワイヤーはこの動きが得意ですが、マウスピースは苦手で、対応が難しいことがあります。
3. 前歯をどれだけ引っ込められるか
口元を大きく下げたい場合、抜いたスペースを使って前歯を根ごと後ろへ動かします。ワイヤーはこの大きな移動が得意ですが、マウスピースは苦手なため、口元を劇的に変えたい方はワイヤー、またはワイヤー併用(ハイブリッド)が向いています。
CTで「根の先」まで見て
判断します
マウスピースが難しい理由の多くは、外から見えない「歯の根の向き」にあります。
他院では「なんとなく難しい」と感覚で判断されることがあります。
当院はCTで根の先までしっかり確認し、「この根の向きだから回せない、だから難しい」と、画像を見ていただきながら客観的にご説明します。ご自身の目で理由を確認できるので、納得したうえで治療法を選んでいただけます。
マウスピースを始める前に、
正直にお伝えすること
マウスピースは「取り外せて手軽」という印象がありますが、1日20時間以上の装着を守れるかどうかで結果が変わります。
当院では、できることと難しいこと、治療にかかる期間の違いを十分にご説明したうえで、無理のない方法を一緒に選びます。
難しい部分をワイヤーで補う(併用する)場合も、その理由と費用を事前にお伝えします。