結論から言うと、矯正中も日常の食事の8〜9割はそのまま食べられます。
「食事制限がつらそうだから矯正に踏み切れない」という方は多いのですが、実際に始めてみると「思ったより普通だった」とおっしゃる方がほとんどです。本記事では、奈良の矯正歯科医・氏井矯正歯科クリニック院長 氏井庸介が、本当に気をつけるべきポイントだけを正直にお伝えします。
目次
1. まず安心してほしい——食べられるものの方が圧倒的に多い
「矯正中の食事」と検索すると、避けるべきものばかり書かれた記事が多いですが、まず知ってほしいのは「食べられるもの」の多さです。
- ごはん、パン、麺類(主食は全般OK)
- お肉、お魚(一口サイズに切れば問題なし)
- 卵料理全般(オムレツ、卵焼き、茶碗蒸しなど)
- 豆腐、納豆
- 煮物、シチュー、カレー(柔らかく煮込んだもの全般)
- ヨーグルト、プリン、ゼリー
- バナナ、いちご、みかんなどの柔らかい果物
- スープ、味噌汁
2. 気をつけるのはこの3つだけ
ワイヤー矯正で気をつけるべき食べ物は、大きく3つに分けられます。「絶対ダメ」ではなく、「ちょっとだけ工夫する」くらいの感覚です。
- 氷をガリガリ噛む(装置破損の最多原因の一つ)
- 硬いせんべい、硬いナッツ類(前歯で噛むのがNG)
- りんごの丸かじり、とうもろこしの丸かじり
→ 小さく切って奥歯で噛めばOK。「かぶりつく」だけ避ければ大丈夫です。
- キャラメル、ハイチュウ、ヌガー
- おもち(特に焼き餅が装置に絡みやすい)
- ガム(装置に張り付いて取れにくい)
→ 頻度を減らすか、小さくして食べれば問題ありません。
- えのき、ほうれん草、ニラ(ワイヤーに絡まりやすい)
- ひき肉(装置の隙間に入り込みやすい)
- パンの耳、ビーフジャーキー(繊維が引っかかる)
→ 食べること自体はOK。食後にしっかりブラッシングすれば問題ありません。
3. ワイヤー矯正とマウスピース矯正で違いはある?
装置の種類によって食事の注意点は異なります。
| ワイヤー矯正 | マウスピース矯正 | |
|---|---|---|
| 食事中の装置 | つけたまま食べる | 外して食べる |
| 食べ物の制限 | 硬い・粘着性のものに注意 | 制限なし |
| 食後のケア | 装置の間の食べかすを丁寧に除去 | 歯磨き後にマウスピースを再装着 |
| 飲み物 | 特に制限なし | 装着中は水のみ |
マウスピース矯正は食事のときに外せるため、食べ物自体の制限はほぼありません。ただし、守るべきルールがあります。
1. 食事のときは必ず外す
つけたまま食べるとマウスピースが変形・破損します。
2. 飲み物は「水」以外つけたまま飲まない
コーヒーやジュースは着色や虫歯の原因になります。
3. 食後は歯磨きしてから再装着
食べかすが残ったまま戻すと虫歯・歯周病のリスクが上がります。
4. 装置が外れやすいのは、圧倒的に「下の奥歯」です
矯正中に装置(ブラケット)が外れることは、実はそれほど珍しくありません。では、どこが一番外れやすいか?
下の奥歯は食べ物を噛み砕く場所です。どんなに気をつけていても、食事のたびに強い力がかかるため、ブラケットが外れやすいのです。
特に硬いものを奥歯でガリッと噛んだとき、前歯ではなく下の奥歯の装置が外れるケースが最も多いです。
外れたらどうすればいい?
慌てなくて大丈夫です。外れたブラケットは捨てずに保管し、クリニックに連絡してください。1〜2日で治療に大きな影響が出ることはありません。
ワイヤーが頬や舌に当たって痛い場合は、お渡ししているワックス(透明の粘土のようなもの)を痛い部分に貼ると楽になります。
5. 裏側矯正(リンガル)は繊維質の食べ物に注意
裏側(リンガル)矯正は、装置が歯の裏側についています。表側の装置とは異なり、舌側に装置があるため、繊維質の食べ物が絡まりやすいという特徴があります。
- えのき(細い繊維がワイヤーに巻きつく)
- ニラ、ほうれん草(長い繊維が装置に引っかかる)
- もやし(同様に絡まりやすい)
- 海苔(装置の細部に張り付きやすい)
→ 食べること自体は問題ありません。食後に舌で確認して、歯磨きを丁寧にすれば大丈夫です。
表側の装置でも繊維質は多少絡みますが、見えるので自分で気づきやすい。リンガルは見えない分、食後のケアを意識的にするのがポイントです。
6. 調整直後の2〜3日だけ、柔らかいものを意識する
ワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも、調整直後の2〜3日は歯が動く痛み(圧痛)が出ることがあります。永遠に続くものではなく、数日で慣れます。
- おかゆ、雑炊、リゾット
- うどん(柔らかめに茹でる)
- スープ・ポタージュ
- 豆腐料理(冷奴、湯豆腐、麻婆豆腐)
- 卵料理(茶碗蒸し、スクランブルエッグ)
- ヨーグルト、プリン、バナナ
7. 矯正中の歯磨き——私たちがサポートします
矯正中に最も大切なのは、食べ物の選び方よりも食後の歯磨きです。装置の周りに食べかすが残ると虫歯や歯肉炎の原因になります。
「装置がついた状態でちゃんと磨けるか不安」という声をよくいただきますが、ご安心ください。
- タフトブラシで装置の周りを重点的に磨く
- 歯間ブラシでワイヤーの下もケア
- フッ素入り歯磨き粉で歯質を強化
- 外出先でも携帯用歯ブラシを持ち歩く
- 甘い飲み物(ジュース、スポーツドリンク)はだらだら飲まない
当院では矯正治療中の患者さん全員に、担当の歯科衛生士がブラッシング指導を行っています。装置の種類に合わせた磨き方を、実際にお口の中で一緒に練習します。
治療中に「ここが磨きにくい」「装置の周りに汚れが溜まる」といったお悩みが出てきたときも、来院のたびにチェックしてアドバイスします。一人で完璧に磨く必要はありません。私たちが治療完了までずっとサポートします。
矯正歯科医からのメッセージ
「食事が大変そうだから矯正はやめておこう」——そう思っている方に伝えたいのは、それはもったいないということです。実際に治療を始めた患者さんのほとんどが「最初の1〜2週間だけ気を使ったけど、すぐ慣れた」とおっしゃいます。食事の不安で矯正をためらっているなら、まずはカウンセリングでお話を聞かせてください。装置の選び方も含めて、あなたの生活に合った治療プランをご提案します。
よくあるご質問
矯正中にお酒は飲めますか?
カレーを食べるとゴムが着色しますか?
外食やデートのときはどうすればいいですか?
子どもの矯正でも食事制限は同じですか?
矯正治療の食事について、もう少し詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
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